2021年07月19日

想像力

「野菜のオムレツは、今日ありますか?」
野菜9種類の重ね焼きオムレツの事だ。

「今週はやって無いです。それに、今日は定休日です」
遠慮がちな声で、電話していらしたこの口調を覚えている。一ヶ月くらい前にも電話してきた方だと。

すぐにコールバックしたが、留守電にもなってない。しばらく待って、もういとど電話して、諦めかけた頃コールバックがあった。

「3日くらい前にお電話していただければ作りますよ。店のメニューは週で変わりますが、一部は2日で変わります。リクエストがあれば作ることはよくあるので」と言うと。
「月曜が休みなので、月曜しか行けないんです」と。
「テイクアウトですよね?月曜は朝6時から夜遅くまで仕込みしていますから、テイクアウトなら対応できますよ。都合いい時間教えてください」

どうせ店にいるのだし、オムレツ一個包む手間なんてわけないし。

「今日、9種類の野菜のオムレツありますか?」と、電話するのだって、勇気がいる。2度目に電話するのは更に勇気がいると思う。
料理人にとっては嬉しい限りだ。
あのオムレツがそんなに食べたいんだって、伝わるのだ。

で、今日17時にいらっしゃるというので、粗熱が取れる14時までに作ることにして待っていた。17時より少し前にノックする人が。

昨夜、「とく山」で、早い時間の夕食を一緒にした、近所のK子ちゃんが覗いてる。

招き入れると、大きな桃をお裾分けに持ってきてくれたウレチイ。

「もうすぐ、昨日話したテイクアウトのお客さんがこれを取りに来るんだ」と言うと。まだ、カットしていない丸ごとのオムレツを見て、目が釘付けになってる。

「あー!私も買っていい?」と、言ったところに、テイクアウトのお客さんがいらした。

二つカットして、それぞれに包んだ。

その、テイクアウトのお客さんが、帰り掛けに、大きなプレミアムビールを私に手渡しながら、「お休みなのに、開けてくれて…」と。そんな…気を使わなくていいのに。

早起きは三文の徳…とは違うけど、、、ニュアンスは似ている。

昨日話題にしていた、想像力だよ。
人の立場を考えられる想像力のある人は、優しい人だと、従姉妹が言っていた。その従姉妹も何かで言っていたことだけだけどと。

政治家にこの想像力があれば、優しさがあれば、酒屋に酒を売るなとか言わないさ…。
posted by Yuko at 21:28| 日記:西麻布事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月01日

嬉しい記念日

コロナ禍になってますますブログから遠ざかっている。
メニューを更新するだけで手一杯なのだ。
インスタグラムも陶芸もあるし。

ここ一年近く日曜日も仕込みしている。週休2日だろうと3日だろうと仕事を休むことはない。それでも日曜は、仕入れだけにして、仕込みをしないようにしていた。手を休める日が週一はあったほうがいいとおもっていたからだが…。

ブログに書きたい、いろんな事が頻繁にある。
今日のこの事は書こう。と、何度思ったことだろう。優先順位が仕込みだからしょうがない。

今週火曜日は忙しかったが、水曜は1組だけだった。
火曜日か水曜でどっちの日に行ったらいいか聞いてきた女優のHちゃん。フィアンセをお父さんに初めて紹介することは聞いていた。
私はすでに紹介されているフィアンセのS君はナイスガイのデザイナー!

予約が入っていなかったし、比較的水曜が暇だから、水曜日にと返信した。
出来れば、貸切状態にできたらいいなぁとも思っていた。

やはり。火曜は忙しく、1人で走り回っていた。

水曜は、朝から土砂降り。夕方雨は止んだ。

いつもは予約時間より早めに来店のお父さんのT氏。誰でも名前を聞けば知っている有名人のT氏より、Hちゃんたちが早めに到着。

緊張しているS君が、
「ユーコさん、僕はどこに座ればいい?」
「こっちが上座だから、ここはT氏。Hちゃんはこっちで貴方はここ」と、一番へりくだった席を指差した。
「ユーコさんがいて良かったぁ」と、S君はすでに汗いっぱいかいてる。

珍しく、時間より遅れてT氏が来店。
「緊張させるから、シャンパン飲んでから来た」と、優しい。
「もちろん今日は、シャンパンでしょう!」

水入らずで、と言ったのに、ユーコさんも!と、言われて、私も参加で乾杯!
なるべく、離れていようと思ったけど、つい、動けない私。

「Hのお祖父さんのとこに挨拶(Tさんが結婚する時)に行った時、とっても優しくしてもらったんだよ。息子が1人増えたなぁと言ってね」
だから…。僕もそうしようと決めていたんだ。そうしたいんだ。と、心の声が聞こえて、胸が熱くなった。イカンイカン!仕事しなくちゃ!

とっても和やかに、緩やかに時間が過ぎ。雨も降って来た。
うん、完璧に貸切状態だ。
1組だけ、バーと間違えて入って来ようとしたお客さんをお断りしてくらいで静かだった。

閉店時間になり、Tさん達は揃って立ちあがった。

TさんがS君の手を両手で握って、S君も両手で握り返して、
「Hを、よろしくお願いします」と。
「こちらこそ、よろしくお願いします」と、S君。

横で私と並んでHちゃんとぼーっと見ていた。
慌てて!
「Hちゃん!ここだよ。今だよ!このシーン撮らなきゃ!」
「ああっ!そうだねそうだね。ユーコさんを撮ってる場合じゃないよね!」
今まで、Hちゃんは、何故か、私をデジカメで撮っていたのだ。

「すいません!もう一回やってください!」
「すいません!見てなかった!」
何度もタイミング外して、無事、素敵なシーンの連射成功!

感動だった!
こんな素敵な記念日に、うちの店を選んでくれてありがとうだった。
なのに、
「大事な日に。ユーコさん、有難う」と、T氏に言われた。優しいなぁ。
3人が帰ってからも、今も、心が温かい。

posted by Yuko at 22:23| 日記:西麻布事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月01日

日本料理 赤坂「花楽」

今日は父の命日。
41年前に亡くなった。母は3年前に亡くなったのに、母の命日を忘れがち。

先週に続き、今日は、ホセとアキちゃんと3人で。
初めてこの店にこの3人で来たのは、3.11の震災の後の3月だった。
ほぼ毎月一回通い続けて10年になる。
始めて来た時の衝撃は鮮明に覚えている。メニューさえも。

母方の祖母の代まで料理旅館をやっていたせいで、母も忙しい中でも、おやつまで手作りだった。
小さい頃から料理作りの手伝いをしていたし、遊びと同じくらい好きだった。
オカラもよく作った。
私は柔らかく滑らかな舌触りが好きだったので、二度越しした。

ここのオカラは、比べ物にならないくらい柔らかく、舌触りがそれはそれは素晴らしく衝撃を受けた。
貝のスープをたっぷり含んで、具は蓮の実だけの、料理屋のオカラから始まったのだ。

今日の献立は、10年前とかなり違う。

@蕗、独活、大根のおしたし
蕗って、子供の頃は大嫌いだった。鼻に抜けるあの匂いが苦手だった。ああ、今日も蕗かぁ…と、テンションだだ下がりだった。いつの間にか、大好きになってるんだ。

A飯蛸の酢味噌和え(蛸の墨と蛸の肝入り酢味噌)八朔、そら豆、菜の花
飯蛸の墨って美味しいんだ。肝まで入って、もっと、たくさん食べたい。

Bエンドウ豆のすり流し ホワイトアスパラとホワイトアスパラ豆腐柚子の花添え
すり流し椀は、何を使った時でも美味しいんだ。エンドウ豆も!

C桜鱒と丹波産筍と木の芽 みかんのソース
みかんのソース、すっごく合う。

D叩き牛蒡の荏胡麻和えとキンカン
先週も頂いたけど、キンカンと合う。

E蛍烏賊の醤油漬けと麹漬け
今日も出して頂けた。麹漬けと全く違う味わい。
F煮蛤鮨
G白海老の白い薄焼き卵の絹巻き鮨
本日解禁漁の白海老。米を食べているので黄身が白い卵を使って、白い薄焼きと言うより絹巻き卵に巻いて頂く。美味しい…。

H宮内菜の炙り 蛍烏賊と鯛の白子のおかき揚げ
先週も頂いたけど、飽きないしいつも食べたい宮内菜。

I短角牛もも肉と花山椒の鍋
花山椒の季節到来だね。甘い出汁に肉をくぐらせ、花山椒を巻いて。う〜ん、美味しい!

11チラシ鮨 香の物 赤出汁
春の山菜を土から出始めたようにしつらえた春景色箱は見惚れます。糸としか思えないようなほっそーい錦糸卵は芸術の域。10年前に始めていただいた箱でもある。
ホセたちは、白魚の卵とじご飯も食べていたけど、もう、お腹いっぱーい。

12黄金柑(湘南ゴールド)ゼリー 桜餡と上用蒸し
デザートも堪能しました。

ほんとうに、この店を見つけてくれたホセ達に感謝!
posted by Yuko at 08:38| 食歩:日本料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする