2023年05月18日

今日の出来事

最近は休日でもなかなか外食する時間がない。休日でも仕込みを夜までしているし、普段3時間半の睡眠時間だから、なるべく休日はたくさん眠る事にしているからだ。それでも、なんとか時間を作って食事に行く。

店を予約する時、3人以上の場合は特に5分前到着を目指す。店側に安心させるためだが…。
今日も、うちの店から歩いて5分の店を予約していた。

10分前に店から出て鰻屋さんの角を曲がった辺りで白杖の初老の方とすれ違った。
歩を緩め、アンテナを張って、いつでも手伝えるようにと。少しくらい遅くなってもいいし。
白杖の方が、突然踵を返し、私と同じ方向に歩きだした。
「すいません!」と、大きな声。
「はい!」と、大きな声で返して、どうしましたか!?と、問うと。

「高塚ビルはどこですか?」と。
丁度、高塚ビルの前だ。
「連れて行っていただけますか。それと、エレベーターで5階を押してほしいんですが」
「はい。ここが階段です」
一緒に階段を上がって、奥のエレベーターまで案内し、5階を押した。
5階は料理屋さんのようだ。

しばらく考えてしまった。
鰻屋さんの隣が高塚ビル。その隣がラーメン屋さんで、ラーメン屋さんの真向いがバス停だ。
あの方は、そのバスから降りたのだろうか。何歩で高塚ビルという記憶の仕方をしていたのだろうか。果たしてバスから降りたのかもわからないが…。

鰻屋さんの匂いを強く感じて行き過ぎたとわかって、目標が曖昧になったのかも。歩数を間違えて行き過ぎたと思って踵を返したが、歩数を一歩間違えたと思ったのかも。
帰りは目的の店の方がいらっしゃるので安心だが…。

五体満足で生きてる事の有難さはもちろん思ったが、感性の鋭さとか、記憶の仕方とか、匂いの鋭さとか、いろいろ考え込んでしまった。
posted by Yuko at 23:11| 日記:西麻布事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年05月05日

プレオープンの日

39年前の今日、5月5日にこの店はプレオープンした。
プレオープンといっても、上京して6年目に店を出したのだ。
東京には1人も知り合いがいない。店をやると決めて、フレンチレストランに修行に入る前も仕事を2つ掛け持ちしていたのだから、それほど友人がいるはずもなく、少ない友人たち、母や従姉妹と今は看板になっているパエリア鍋を使って、パエリアを作って、みんなで食べただけだ。

翌日から手作りのチラシを作って、母と従姉妹に手伝ってもらい、西麻布交差点で、行き交う人に、「ランチやります」といって、配っただけから始まった。

オープンしたのは、8日だったと思う。7日だったかもしれない。こんなに長くやるつもりはなかったので、オープンの日を記憶することなんて考えてもいなかった。

初日から、オープン前には行列ができてて、めちゃめちゃ驚いた。それからずーっと、ランチは完売の日が続いたが、夜も忙しくなったし、ランチは作業であって料理じゃない。クリエイティブじゃないなぁと感じて、一年で終えた。

当時、長期の休みを取る店なんて考えられない時代。5月にオープンしたばかりなのに、8月はほとんど休んで、海外に仕入れと食の旅に出かけていた。

投資は自分の体にしよう。知識は盗まれない。お金が貯まると夏は5週間。冬は4週間休んで(しばらくは5月も2週間)海外に行っていた。

(潰れた)と、噂が流れたらしく、道で常連さんに会うと、目を逸らされた。
「こんにちわ」と挨拶すると。
「あぁ、いま、どうされているんですか?」と問われた。
「えー!店やってますよ。夏休みしてました」と答えると。
「えーーー!長すぎませんかぁあ!」
ネットもどころか、携帯もない時代だしね。窓に大きな紙に(フランスに仕入れに行ってきます!)と書いても、読まれず、店を閉めますと思い込まれたようだ。

旅は年2回から3回行っていた。50歳になった時、(海外で働きたかったなぁ)と。(そうだ!いま、働きに行けばいいではないか)と気がつき、レストランに手紙を書いたりして、いろいろな国のレストラン、オーベルジュ、料理研究家の家とかで働きに行っていた。

ま、そんなこんなで…コロナ禍でここ3年は海外に行くこともなかったが…。

来週から40年目に入る。
やりきったなぁと思う。
店をやりたくて店を出したのじゃない。
料理を作って生きていきたいと思った。それじゃあ生きていけないから店を出しただけ。
その事にブレないでいたい。
だから、ニンニクの皮むき、玉ねぎの皮むきも1人でやることに拘った。39年間1人で料理を作り続けた事に満足している。
40年目に足が一歩入った。
やりきったなあと思う。
posted by Yuko at 22:59| 日記:西麻布事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月04日

代官山「On the hill」

酸素カプセルが調子いい気がする。
翌日に顕著にわかる。痛みがはるかに無くなっている。もう、ロキソニンは必要ないかも。

今日は築地の不動産屋さんを紹介して頂いたので、築地に行く。築地に引っ越すというわけでもなく、古くからやっている不動産屋さんは、地域に関係なく物件を抱えている。それは、外に出さないで、抱えているお客さんに向けて進めるのだ。

どの時代になっても、足で回るのは大事だし、信用ある人のツテが大事。

早朝でなく昼間の時間に築地に来るのは年末くらいだ。そうだ!前から行きたかったカフェターレー(Turret Coffee)に寄ることにする。
並んでるなぁ。10人くらいかな。並ぶ事にする。普段の私なら、並ぶなんて考えられない生活。そうか、みんな、こんなにノンビル生活してるんだぁ。

ランチだってそうだ。
みんなゆっくりランチしたり、お茶したりしてる。私には皆無の出来事だ。カルチャーショクと言っていいくらいだ。
この際、普通の生活を少しだけ体験してみるか。
それと、普段、行きたくても休日が同じだったり、外食もなかなか出来ないしで、不義理している店にも行こう。

今日は、歌舞伎関係でJ航空の元CAのYMちゃんと女優のAMちゃんと代官山の「On the hill」で待ち合わせ。
YMちゃんのお姉さん(舞踏家)や甥っ子(歌舞伎役者)さんや、この店の常連さんで私も知り合いの方にもお会いして、あちこちでご挨拶。

この店は、元大手広告代理店名物コピーライターで、退職後は二階でワインバーをしていた亡き殿とその奥様で、「ママタルト」と言う有名なケーキとカフェをやっていた亡きエンさんの息子さんが跡地でやっているワインバーだ。ワインバーというより、メニューがさらに多くなったので、レストラン&ワインバーと言ったほうが正しい。

また、腕を上げたね。久々に来て、いい驚きを味わった。
日曜と月曜が定休日だが、火曜も予約のみの営業になったとか。

店は、開いている時間が労働時間じゃない。仕込み時間をあまり取らない店も多いが、ちゃんと料理を作っている店は、見えない時間に長時間働くものだ。仕入れも走り回るし、料理だけでない仕事も多い。

思いっきって休みを増やし、自分の時間を作るのは、自分の人生を考えると大事だね。

YMちゃんはいつも美味しい和菓子を頂く。しまった!手ぶらだぁ。
AMちゃんにも、仕事の船旅ヨーロッパ巡りのお土産を頂いてしまった。

楽しい会話と美味しい食事で時間はあっという間に過ぎるんだね。
なんか、明日の事を考えずに、ゆっくりするって、何年ぶりだろう。
海外に旅しない限り味わえない時間だった。
posted by Yuko at 23:27| 食歩:その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする