2024年06月25日

秋山庄太郎先生の23回忌を前にお墓まいりへ

店がオープンして数日経ったある日の事だった。
友達が主婦の友の社長と来店。
当時、西麻布に住んでいらした秋山庄太郎さんと社長が友人で。知り合いが店を出したから行ってあげてくれと後日、秋山先生に話されたと聞いていた。
それから間もなく秋山先生がお一人でランチに来店。オープンした1年間だけランチをやっていたのだ。
それからは、山城新伍さん、黒鉄ヒロシさんとか一緒に、よく来ていただいた。
経済誌プレジデンのレストラン紹介コーナーでのうちが表紙でと、紹介してくれた事があった。「とく山」のオーナーと友達なのに、「とく山」でなく。
当時はネットも無い時代。お客さんは口コミか雑誌の店の紹介記事を見てと言うのが普通だった。
私は日本でまだ紹介されてない料理を出して行きたいと思っていた。それでも口コミだけでやって行こうと決めていた。すべての雑誌掲載をお断りしていたのだ。プレジデント社も例外でなく、一度はお断りした。
編集担当の方が「人に教えたくない店」って言うのがタイトルなんですと。じゃあ、住所も電話番号ものせないと言う条件でもいいですよね!と、交渉して掲載に至った。
撮影の日、秋山先生が入っていらして、「無理言ってすまないねぇ」と。
凄いなあと思った。雑誌と言ってもプレジデントだぞー!である。生意気にも一度は断った私に頭を下げるなんて!感動した。

私の自宅のベランダから秋山先生の自宅が見える。2つビルを挟んでの隣だ。現在は秋山庄太郎記念館になっている。

先生の姿を見かける時は、なぜか、私に手を貸して欲しいと言う時が多かった。

ある日。
秋山先生が亡くなる5年未満前の昼過ぎ頃だった。
先生が根津美術館坂下に立ってらした。坂を見上げて。しんどいなぁという溜息が聞こえそうだった。
両手にはコンビニ袋にたくさん入った荷物を持って。
「先生重そうだねー。持ちますよ」
片手にコンビニ袋、片手に先生の腕をとって先生のお宅に送った。
上がりなさい。と言うけれど、私は国立劇場に行く前で、時間が無い…けど…上がる。
先生があんパンと牛乳飲み始めた。そして、バナナを一本私に差し出し、食べなさいと。
「先生!私、猿じゃないしぃ」と。
こんなエピソードはたくさんある。

ある日、現在はラム酒バーの「タフィア」が喫茶店だった頃。先生がそこで立ち止まってるのが見えた。
「先生!何してるのー?」
「いやあ。杖を忘れてね。先に行くのも戻るのも遠くてねぇ…ここでお茶飲まないかい?」
「飲みましょう飲みましょう❗」
先生のスタジオは高樹町交差点と西麻布交差点の真ん中あたりにあった。ここはちょうど距離にしたら自宅との真ん中だった。
しばらくお茶をしてから。
先生の腕をとって、スタジオまで送ることにした。
「なんだか、介護老人みたいだね〜」
「そうですよー!…先生をお連れしましたあ!」と、スタジオに。

また、西麻布交差点ホブソンズ前に、先生が立ち止まってるのが見える。3渡目かあと思って見たある日。
今回は何を助けて欲しいのかなあと近づいて、先生!と、声をかけた。
「ユッケビビンバが食べたくてね。あなたお腹空いてないかい?」「空いてます空いてます!行きましょう」と、叙々苑へ。なあんだ、今日は食べればいいのかあ。と、テーブルについた。
料理を待ってる間話していた。
「明日の朝のパンを買いたいんだけど、ここらはパン屋が無いんだ」と。
先生!すぐ戻るから待っててね!と、店にパンを取りにいって先生に渡した。
なんだ、今回はパンかと、思った😂

先生は、写真の審査員をしてたとき、テレビの撮影が終わって倒れて、亡くなった。苦しむ期間がなく、理想的な最後だと思った。
数日後。
冬の寒い日。まだ、バイトも来ていない17時前くらいだったかなあ。コックコート来てスタンバイしていた。
「分とく山」の野崎さんがドアを開けて、
「今、秋山先生のお葬式をスタジオであるから密葬だから。行きなさい!」と。
「でも、こんな格好だし」
「そのまま行きなさい!火の始末は大丈夫かい?」
カギをして、ベストだけコックコートのうえにして、走った。スタジオに。
走りながら、思い出がいっぱいになって、ボロボロに泣きながらスタジオに飛び込むと。黒い服装の人で中も外もいっぱい。だれも泣いてないのに、ひとり、ご霊前の袋も持たないで受付にたった。
恥ずかしさでいっぱい。でも涙は止まらないグショグショ。
みんな驚いた顔で私を見ているし。ますます小さくなる。
「びっくりしたでしょう!?先生、とてもいい顔ですよ。見てあげてください」と、受付の女性が。
本当にきれいなお顔だった。
ただただ、先生!お世話になりました。ありがとうございましたとだけ言って、帰った。

先生のお墓のある場所は調べてある。行きたいと思いながら、何年も経ってる。
まゆみちゃんが、この日予定があったけど1日何も無くなったから、秋山先生のお墓参りに行きませんか?くるまだしますよ。と、言ってくださった。
図々しいとは思いつつ、この機会に行かないと、いつになるか。
お言葉に甘えた。
そして、来年は23回忌。
この日まゆみちゃんと行った。
女優さんの写真で有名だが、後年は花の写真が多かった。
「花」の文字が彫られているシンプルな墓石。
先生には華やかな薔薇が似合うから、薔薇を持って。
ただ、ただお礼を。有難うございましたm(__)m
posted by Yuko at 22:46| 日記:その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする