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2003年07月01日

どっちの原稿が採用に?

もう7月だ。でも、今日は涼しくて有難い。

季刊「LONGSTAY」から、原稿も頼まれた。テーマは〈私の料理へのこだわり〉だと言うので下の原稿を送った。

  よく、どの国の料理が個人的にお好きですか?と聞かれる。 返事に困る。大体次のように答えている。

どの国にも必ず、”これは美味い”とうなる料理がある。どの国が好きかといわ れても困る。と。さらに言うなら、お母さんが家族のために、愛情   いっぱいに作っ た料理にかなうものはない。 いろんな国に旅して、その国の家庭料理を味わえる機会が多い。レストランでの 技巧を施した料   理より、感動を味わう機会は、家庭の方が多いと思う。 そんな時、その国が好きになる。したがって、大好きな国が増える。

レストランにおいて、個々に愛情を向けるのは難しい。が、できないはずはない。 私は、20年近く店をやっていて、ずーっとひとりで作り続けてい  る理由のほと んどがその部分である。玉葱の皮剥きから、自分の手を通して納得したい。毎日 毎日の事ではある。体調が悪い事もある。しか  し、やり続けている理由は"気"と いうものを、すべて自身で入れたいからだ。完璧主義といわれる。そうではない。 自信がないから、全力を尽く  しているだけである。

サービスというものが頭を下 げ、笑顔いっぱいということでだけではなく、愛情いっぱいに一生懸命作る。そ して、リズムよく食べる順序にも気を  使う。目に見えないけど、わかる人にはわ かる。わかる人だけ来ればいい。そう思って、決して、愛想のいいほうでない私 は、笑顔より、料理に  愛情を込める。

と書いたのだが、かたいなぁと思いそのように言うと、じゃぁ、〈長く滞在しなければ見えないもの〉についても書いてくださいと言われ、下の原稿を送った。

  私の店が夏に5週間、冬に4週間店を閉め、その間、ラテン国を中心に旅して2 0年目になる。

その旅では、ほとんど1カ国のみの滞在が多い。そして、内2週間程はレストラ ンやオーベルジュ、はたまた家庭に滞在する事が多い。

シシリーのトラパニという街の家庭に滞在している時に、小さな家を衝動買いし た。長期休暇中(6年間持っていた)よく、その家で料理もした。

スーパーマーケットが大好きでよく行く。大きな茄子だなぁ、きっと大味なんだろうねぇ。大きなピーマンだネェ。色も悪いし、硬そうだね。そう思っ  てい た。しかし、スーパーで買って家で作るようになって、全く違うことにビーック リ!大味だろうと思っていた茄子は、ナイフを入れると吸い付く  ような切り口。 オリーブオイルで焼くと、それはそれはトロトロでうんまい! 硬そうと思っていたピーマンは皮が薄かった。皮を焼いて剥く必要は  全くいらな い。このピーマンもトロトロになる。ワインビネガ−を仕上げに振ってやると、 砂糖が入ってるんじゃ?と、思うほど甘くてうなる美味しさ  になる。

この家で驚いた事は、電気のメーターが無かったことだ。6年間私は電気代を払っ ていない。他の家からいただいてた事になる。「ユーコはここ  にたまに帰るだけ だから電気は皆にもらえ」と言われた。メーターなんて当然ついているものと思っ ていた。日本であたりまえの事が、世界でど  の部分同じであるかということを考 えてしまった一件である。  

どっちの原稿が採用になると思う?